マーサージャパンと羅針盤、独自AIとパーソナリティデータを活用したコミュニケーションスキル向上とチームワーク強化の実証実験を実施
2024年12月3日
組織・人事、福利厚生・ウェルビーイング、年金・資産運用のグローバルリーダー、マーサー日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 草鹿 泰士、以下「マーサー」)は、観光新時代をリードすることを目指し、インバウンド関連事業を運営する株式会社羅針盤(本社:東京都中央区、代表取締役:佐々木文人、以下「羅針盤」)と共同で、コンサルタントのコミュニケーションスキル向上およびチームワーク強化を目的に、独自AIを活用するパーソナリティデータ1ソリューションによる実証実験を行いました。なお、本ソリューション開発にあたり、慶應義塾大学の佐藤和教授にアドバイザーとして関わっていただいています。
まず、適性検査の結果をもとにマーサー独自のAIプロファイリング技術2 を使い、能力を発揮しやすい環境や役割などの指標によって、従業員を複数のパーソナリティタイプ3に分類しました。さらに、ミーティングの様子を録画して分析したところ、参加者の表情や発言量がそれぞれのパーソナリティタイプに特徴付けられることが分かりました。
また、このパーソナリティ情報を活用してコミュニケーションスキルについての理解と活用を促すワークショップを実施しました。ここでは、パーソナリティマッチング4の技術を使い、パーソナリティ距離5の近さの条件を変えてペアワークを実施し、コミュニケーションへの影響を体感しながらワークセッションを行いました。パーソナリティ距離が近いと相性が良いとお互いが感じやすいことが経験上わかっており、この知見を組み込んだものです。ワークショップを実施した結果、「お互いの理解が深まった」などのポジティブなフィードバックが多く寄せられました。今後、役割の最適化やファシリテーションスキル向上施策の策定、さらにはタレントマネジメント(採用、オンボーディング、配属、育成など)、パーソナリティデータは幅広い領域での活用が考えられます。
マーサー 組織・人事変革コンサルティング シニアプリンシパルでピープルサイエンスチームリーダーの諸橋峰雄は、本リリースにあたり以下のようにコメントしています。
「これまで開発してきたパーソナリティデータソリューションを活用するケースとして羅針盤様のチームワーク・育成領域に適用できたことを嬉しく思います。特に、パーソナリティデータと音声、動画のマルチモーダルを組み合わせて人の特徴をよりよく理解できたことは大きな成果です。今後、このソリューションを他社様のタレントマネジメントでのあらゆる領域で展開していき、働く人の成長、より良い環境作り、意識向上に貢献できればと考えています」
羅針盤の代表取締役の佐々木文人氏は、以下のようにコメントしています。
「パーソナリティデータの活用および音声・データの活用により、メンバーのコミュニケーションにおける特徴を理解することができ、チーム内での相互理解の促進に繋がりました。感覚として理解していたものを体系的に理解することができ、今後パフォーマンスを最大化するためのチーム組成や育成・採用へも活用していくことができればと考えています。」
現代のビジネス環境では、多様な文化、価値観、役割を持つ人材の活躍が必須です。特に会議の場で、異なる意見を持つ参加者が各々の視点を共有し、建設的な議論を経てより良い結論を導き出すためには、全ての参加者と効果的にコミュニケーションできるスキルがファシリテーターには不可欠です。羅針盤では、コンサルタントの一人ひとりが周囲の状況に合わせて対話を円滑にリードし、効果的なファシリテーションを行うための能力の育成を重要な課題だと捉えています。
1 パーソナリティデータ:指標を使いパーソナリティ(性格などその人が持っている資質)を定量化したもの。
2 AIプロファイリング:適性検査の結果をもとに出てきたパーソナリティデータに対してAIを使って独自の指標として見える化すること。
3 パーソナリティタイプ:パーソナリティデータに対する類型。たとえば2つの指標使って4象限に分けると、4つのタイプができることになる。
4 パーソナリティマッチング:プロファイリングで取得したデータの距離を測定すること。
5 パーソナリティ距離:パーソナリティマッチングで取得したパーソナリティデータの多次元空間における個人間の数学上の距離。
本実証実験の内容
マーサーと羅針盤は、以下の流れでパーソナリティデータ分析と施策を実行しました(図)。
- データ収集:適性検査、会議の録画および録音データの収集
- データ加工:分析に必要な形にデータを加工
- 分析・検証:パーソナリティプロファイリング、および会議データからコミュニケーションを特徴化
- アクション:プロファイルとコミュニケーションの特徴をガイドとして作成し、ワークショップを実施
図. 実証実験でのパーソナリティデータ利用の流れ
マーサーはまず羅針盤社員のパーソナリティデータの分析から始め、独自のAIプロファイリング技術により各メンバーのパーソナリティタイプを分類しました。このデータにチームミーティングの動画から表情、発言量を分析し組み合わせることで、タイプごとのコミュニケーションスタイルを特徴づけることができました。この特徴づけは、コミュニケーションデータを使ってマーサーが独自に作っているパーソナリティタイプの予測もできることを示唆するものです。あわせて、パーソナリティマッチングを使ってチーム内のメンバー同士の関係性について、パーソナリティ距離の観点で可視化しました。この結果から、タイプとパーソナリティ距離の掛け合わせでチームの特徴とチーム内の関係性を理解しやすくなります。これらの結果をもとに、経営者および人事担当者とチームワーク強化や育成の観点からどのような施策が望ましいか議論した結果、ワークショップを最初の施策として実施することを決めました。
ワークショップでは、パーソナリティマッチングを使ってパーソナリティ距離の違いを体感できるループワークを織り交ぜながら、振り返りとアクションを考える機会を提供しました。ワークショップの参加者からは、「コミュニケーションの特徴に気付きを得ることができた」「ぜひ社内の取り組みに活用していきたい」と多くの反響がありました。社内外の相手を対象に、どのように円滑なコミュニケーションができるのかという意識変容を促す結果になり、会議だけでなく普段のコミュニケーション改善も含めたスキル向上の兆しが見えました。今後は意識変容から行動変容につながる施策を検討・実施していき、チームワークの強化とコミュニケーションスキル改善を図っていきます。