株式ポートフォリオ構築指針 

『オルイン』(2024年冬号 掲載)

2023年度第1四半期は、米国大手7社の株価上昇が市場を牽引し、その後の第2四半期は、金利上昇と原油価格の高騰によるバリュー株高、特にエネルギー関連銘柄の大幅な上昇が見られ、このような環境下で株式アクティブマネージャーが超過収益を得ることは容易ではなかった。パッシブの選好が続いたが、金利やインフレ率の上昇などの市場環境の変化を受け、アクティブファンドや株式ポートフォリオの再考への関心が高まっていると見て、本稿ではマーサーの株式ポートフォリオ構築指針を改めて整理したい。

マーサーは、株式ポートフォリオ構築の指針として、以下の4つを提案している。1. 複数の国・地域にまたがる幅広い投資を行いリスク分散・投資機会を最大化すること、2. サスティナビリティの重視、3. 運用能力の高いアクティブマネージャーの採用、4. リターンドライバーの分散によりアクティブリターンを安定化させることである。特に、リターンドライバーの分散は、マーサーが有効と見なすファクターを活用し、インデックス運用を上回るパフォーマンスを安定的に得ることを目的とする。

その第一歩は、クオリティアクティブを中心に据えたコアアロケーションの構築である。クオリティ特性(高ROEなど良質な収益性を示す銘柄と定義)は、安定したリスク調整後リターンと、他のリターンドライバーとの低相関性を示すことから、コアポートフォリオの軸とする。実際、クオンツショックやリーマン危機以降、クオリティ特性の安全性が高く評価されてきた。バリュー特性が陥りがちな低自己資本比率のリスクを避ける効果も期待できる。

次に、IT革命期に優勢となったモメンタムと、ITバブル崩壊後の適正価格の見直しを契機に再評価されたバリューの二つの特性は、核となるアクティブクオリティ特性に多様性をもたらす要素と考える。これらの特性を組み合わせることで、長期にわたり安定的な超過収益を獲得できることが実証される (図) 。

(出所) Refinitvのデータを基に算出、超過収益はMSCI World対比で算出クオリティ: MSCI World Quality、バリュー: MSCI World Value、モメンタム: MSCI World Minimum、分散型はクオリティ50%、バリュー25% 、モメンタム25%の組合せ

さらに新興国や小型への対象の拡大、構造的トレンドなど専門的な銘柄選択の視点の追加により分散は進むが、最後に重要な点は、上記3の通り、これらのファクター傾向を持つ優れたアクティブマネージャーを選択することである。マーサーは、アクティブマネージャーを投資アイディア、ポートフォリオ構築、執行、ビジネスマネジメントの四つの評価軸で定性評価している。

不確実性が増す投資環境において、マーサーの指針が参考になれば幸いである。

著者
北川 春香

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